動画配信・DRM・VSEO・動画マーケティングで「JEITA」と一致するもの
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0910/01/news113.html
DRMが施されたデジタル放送専用録画機にについて、現行法上、明確な規定はないが、権利者団体側は「補償金の課金対象」、東芝・パナソニックも加盟する電子情報技術産業協会(JEITA)は「対象ではない」と主張。文化庁が調整を図っていた。世間一般は、JEITAを支持するのかもしれないが、自分で交渉を蹴っ飛ばして支払いもしないような態度をとるようでは、将来すべてのコンテンツがコピー不可ということになりかねないのではないか。そうなったら、自分で自分の首を絞めることになると思うのだが。
JEITAは、5月に始まったBlu-ray Discレコーダーへの補償金課金に絡み、「デジタル放送しか録画できない機器で補償金徴収に協力すれば、消費者の財産権侵害に加担する恐れがあるなど法的リスクが生じ、メーカーは過大な負担を強いられる」などとし、デジタル録画専用機器への課金に反対する主張を展開している「消費者の財産権」ってなんだ?
いずれにしても、日本には電子機器メーカーが多すぎ、大きすぎ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/15/news079.html
参照先の記事を読んでも、具体的なことはあまり書いていないのでよくはわからないが、単なる対立の構図では業界的な健全な発展もないということだろう。ニコニコ動画(ニコ動)の最大の危機を救ったのは、日本音楽著作権協会(JASRAC)の菅原瑞夫常務理事と、エイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長だ――ニコ動運営側が、12月12日のサービス開始2周年を期に、「ニコニコニュース」でこんな裏話を明かした。
ニコ動最大の危機は、「複数の企業・団体がニコ動を訴訟する直前までいっていた」という2007年7月~10月。「もしあの時点で訴えられていたら、ニコ動はまず持ちませんでした」と振り返る。
この危機を救った恩人のうち2人が、菅原常務理事と松浦社長という。菅原常務理事は「ニコ動はあくまでユーザ側に立たないといけない。JASRACを敵にしていい。われわれは叩かれるのは慣れている」とアドバイスしたそうだ。
「ネットではいろいろと攻撃されることの多い2人ですが、ニコ動がつぶれずにあるのはこの2人のおかげ」と運営側は感謝を示している。
その点は文化庁の会合のJEITA側の論点などは目を覆うばかりだが。
IT Media News の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/24/news117.html
権利者にとって目に見える成果も出てきたという。成果とは(1)JEITA加盟社にも、権利者に理解を示すメーカーが出てきた、(2)補償金制度が報道されるようになり、消費者の関心が集まってきたこと――で、椎名さんは「プラス思考でいきます」と話す。
(2)についてはアイシェアが7月7日に発表した補償金についての意識調査(ネットアンケート)で、24.2%が「補償金は著作権のためなら仕方がない」と、25.9%が「課金される補償金の金額次第(で受け入れる可能性がある)」と答えていたことを紹介。「課金されてもいいと考える人が55%に上っている。ネットユーザーを中心とした調査結果では、これまでに考えられなかった画期的な数字。少しずつだがユーザーの理解が進んでいる」(椎名さん)
すでにInternetWatchで報じられているが、IT Media News では上記の部分についての記述が加わった形。
アイシェア調査については、質問の仕方がいまひとつ(恣意的)な調査が多いが、これもその一つ。「課金に賛成か反対か?」と聞かれるとそれは当然反対と答える%が大きくなる。「権利者に対価報酬のための課金に賛成か反対か?」という質問であれば、また違った答えとなるはず。
日本人はモラルも高いので、JEITAの理不尽な主張が変質せず、一般に知られるところとなれば、ネットの一部のフリーライド賞賛の言論も、急に潮目が変わってくる可能性はあるはず。
Internet Watch の記事
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/07/24/20367.html
音楽や映像などの権利者団体で構成される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」が24日に会見を開き、私的録音録画補償金制度の支払い義務者をメーカーにすべきと訴えた。また、補償金制度の見直しに合意しないメーカーの強気な姿勢の背景には「経産省の介入がある」と指摘。補償金制度の見直しを巡って、今後は経済産業省との交渉も辞さない構えを示した。
● しばらく経産省とやり続けることになるだろう
7月10日に開かれた私的録音録画小委員会では、電子情報技術産業協会(JEITA)の委員が、「DRMが施されているコンテンツなどの私的複製は、権利者の大きな経済的な損失が認められない」と発言。地上デジタル放送の新録画ルール「ダビング10」についても、「DRMが機能している範囲では、契約で許諾する私的複製と同じである」として、権利者への補償は不要であると主張していた。
この点について実演家著作隣接権センター(CPRA)の椎名和夫氏は、「ダビング10などのように契約によって対価を徴収できない分野で、なぜ不利益が発生しないと言えるのか」と疑問を示す。また、DRMの普及に伴い補償金制度を縮小・廃止する前提で、当面は補償金制度を継続する方針を盛り込んだ「文化庁案」にJEITAが反対したことについても、「結局は、議論を振り出しに戻す『ゼロ回答』。2年間にわたる議論が、徒労に終わりかねないのは残念」と失望感を募らせた。
椎名氏は、私的録音録画補償金制度の見直しに合意しないJEITAの“ちゃぶ台返し”の背景には、経済産業省の介入があると指摘する。「経産省は、メーカーだけでなくコンテンツ産業も所管する役所。これまでは補償金を巡る議論で何の調整も行わなかったが、土壇場になってメーカーの意を受けて介入してきた。コンテンツの権利者を屈服させようとしたことは、極めて由々しい事態だ。個人的には、PSE法が成立した際、『中古楽器が販売できなくなる』となったときに経産省と事を構えたが、経産省は大企業の方しか見ていなかった。結局、強きに流れてばかなことをやる体質は、何も変わっていない。今回もしばらく経産省とやり続けることになるだろう」。● 補償金の支払い義務者をメーカーに
補償金制度の見直しに合意しないJEITAの姿勢について椎名氏は、「補償金の負担のサイクルからメーカーが逃れようとしている」と非難。「メーカーがこれだけ補償金に強くこだわるのは、補償金の支払い義務者は事実上メーカーであるから」として、今後はユーザーに私的録音録画を可能にする機器・記録媒体を販売することで巨大な収益を得ているメーカーを、補償金制度の支払い義務者にすべきだと訴えた。また、「その話をする相手は今後考えた方がいい」として、経済産業省と交渉する姿勢も見せた。
「メーカーは、補償金がかかれば製品の値段が上がると説明するが、おそらくそれは間違い。例えば、パナソニックのブルーレイディスク(BD)レコーダー『DMR-RB500』の価格を量販店と価格比較サイトで調べたところ、最安値と最高値の価格差が4万6806円もあった。仮に最高値で補償金額を算出してみると759円。メーカーと量販店との取引価格は、取引実績や市況で決まるので、759円が小売り価格に影響を与えることは少ないだろう。また、買い物の仕方次第で4万以上も損したり得したりする中で、759円が『法外な金額』とはいえない。● JEITAは補償金制度の自然死を待つために時間稼ぎをしている
さらに椎名氏は、「瀕死の状態にある」という補償金制度の窮状を訴えた。私的録音録画補償金の徴収額は、2001年の 40億円をピークに右肩下がりを続け、2007年では12億円までに縮小したという。「権利者としては少しでもこの状態から脱することができればと思い、文化庁案を支持してきたが、もはやその意味合いは大きく薄れたと言わざるを得ない。JEITAにしてみれば、法改正に反対すれば補償金制度は自然死を迎えることから、明らかに時間稼ぎをしている」。
また、日本音楽著作権協会(JASRAC)の菅原瑞夫氏は、補償金の対象にすることが決まったブルーレイディスク(BD)についても、「いまだに政令指定を受けていない」と指摘。北京五輪商戦として販売されているBD製品が、補償金制度の対象外になっている現状を示した。「政令指定後には補償金額の料率の交渉もある。そこでJEITAが延ばすとなると、実質的にはどうなるんだろうかという問題がある」。
また、iPodをはじめとする携帯音楽プレーヤーを課金対象とする、いわゆる“iPod課金”については、MDやDATなど補償金額が少ない物を補償金の対象から外した上で、携帯音楽プレーヤーを新たに対象とすることも検討していると言うが、「そのことも(JEITAに)否定されている」状況だという。
「フランスではiPhoneに2月から補償金がかかっていて、速やかに動いている。なぜ日本はこれができないのか。それには当事者間の合意が前提となるが、JEITAが『ノー』と言い続ければ合意は永遠に訪れないことになる。iPod課金にも法改正が必要となるが、それまでに補償金がどんどん少なくなっていく状況をどう考えていただけるのか」(菅原氏)。● JEITAの「そんなの関係ねぇ」発言は社会を愚弄するアウトローな主張
日本映画製作者連盟の華頂尚隆氏は、「もし権利者側が地上デジタル放送のコピーネバーを主張していれば、機器や記録媒体は売れないのでメーカーの利益はゼロ、権利者もコピーが行われないので補償金による対価もゼロ、消費者の利便性もゼロ。ネガティブだが、フェアな構図」との持論を展開。しかし実際にはダビング10が解禁され、消費者とメーカーだけに利益がもたらされていると指摘し、「権利者にも適正な対価の還元があってもいいんじゃないか」と述べた。「JEITAは『デジタル環境でのコンテンツ流通はWin-Winであるべき』と発言しているのに、なぜかダビング10では補償は不要と言う。『そんなの関係ねぇ』みたいな感じだ。」(菅原氏)
華頂氏は「そんなの関係ねぇつながりで」として、JEITAが7月10日に開いた記者会見で、「BD課金は、ダビング10スタートのために文科省と経産省が決めたこと。ダビング10開始は歓迎するが、対象機器についてJEITAが申し上げたことはない」と発言したことを指摘。「勝手に決めたことに従う意思がないというアウトローな主張。社会全体を愚弄するする看過できない発言だ」と厳しい非難を浴びせた。「両省の大臣は、ダビング10の環境整備のためにBDを課金対象にすると言っている。BDは、ダビング10の補償以外の何者でもない」。
このほか菅原氏は、補償金制度が著作権を保護する文化保護制度のひとつであるとして、補償金制度に反対するJEITAの姿勢を改めて批判した。「JEITAの一連の発言や対応を見ると、文化保護の制度が要らないと言っているに等しい。そのような保護の制度がなぜ不要なのか、JEITAに証明してもらいたい」。
「JEITAは議論が尽くされていないと言うが、2007年では17回の小委員会が開かれ、うち補償の必要性は8回も議論が出た。尽くされていないというのは、自分たちが発言していないのか、自分が思うような進み方がないと、議論がされていないというのかわかりませんが、いかがなものでしょうか。」
これまで表面上に出てきている記事などを読んでも、論理性で言えばJEITAのほうにはほとんどないに等しく、それでいて強気に議論を拒否している状況なので、矛先を経済産業省に変えるというのは正しい方法か。
IT Media News の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/11/news032.html
この議論の一連の流れのなかでのJEITAの態度には、傍観しているだけの立場でもかなり不快感がある。
発言内容も、質問に対しての揚げ足取りなことばかりで、こんなことを平然と団体の主張としているようでは、業界の未来がないように思う。
補償金は、複製によって生じた損失を補てんするという考え方だが、対価の還元の方法はそれだけではないだろう。契約と技術を組み合わせれば、何らかの新しいサービスでコンテンツを提供し、収益を上げ、クリエイターに還元するといった方法がいくらでも考えられる。メーカーが資することができるとすれば、技術開発やビジネスの提案の部分。win-winのモデルがあると思っている。生産的な議論を加速させていきたい。
具体的な還元方法も示さずに、議論を拒否しておいて、生産的な議論もないだろう。
北米では技術とビジネスモデルが一体化して議論が進み、そこで利益が出ており、補償金で損失を補償してくれとは言っていない。欧州はメーカーが補償金を支払っているが、欧州では先に法制度ができたためだ。
北米で何がうまく言ってるというのか?議論をそもそも根本的にひっくり返すようなことをしておいてビジネスモデルが一体化して議論が進むわけがない。
デジタル録音録画機器に関しては、7、8割が補償の必要がない利用だという消費者アンケートの結果がある。そこを議論せず、補償金について権利者に歩み寄るかといえばNOだ。
議論をひっくり返すために持ち出すデータとして稚拙すぎ。消費者にこんな恣意的なアンケートをすれば、そんな結果になるのは当たり前。
補償金はメーカーではなく消費者が払っており、「協力者」として集めているのがメーカーという認識だ。消費税のように別にもらってるわけではないから、あいまいに見えるかもしれないが。JEITAは消費者の立場を代弁しているつもりだ。
権利者対メーカーの泥仕合といわれたが、もともと当事者ではない。だが寡黙でいると「なぜそのとき反論しなかった」と言われてしまう。権利者が納得し、機器を使ってもらえ、ユーザーも納得する状態を目指している。例えば、ダビング10でコピー制御しながら補償金を払うことになるとバランスが悪いと思っている。
そもそも、JEITAが消費者の意見を代表するのがおかしい。消費者の行動は分かりやすく、不満があれば製品を買わないという判断するだけ。機器が売れるかどうかは上乗せされた補償金の有無や率で決まるわけではない。
恣意的な消費者アンケートをして「消費者の声」などという論理のすり替えをメインに、この議論がストップしているのであれば、なんとも情けない・・・
――補償金に関する議論が平行線たどった場合、権利者は得られる補償金額が細るという損失があるが、メーカーに不利益はあるのか。小委員会では「時間稼ぎの作戦だとしたらとてもうまくいっている」という委員からの指摘もあったが
亀井 不利益は……考えたことがあまりない。われわれがこうして時間を割き、加盟企業も時間を割いているのが不利益と言えば不利益。ただ、議論自体に生産的な感じがしないので、このエネルギーは新しいほうに振り向けたほうがいいだろうとは思う。
このコメントには唖然とするが・・・。自分たちの不利益になるという認識もないのに、権利者の補償金額を減らすことが明らかな主張をして議論を完全に振り出しに戻しているのか?何のため?
消費者のため、というのであればそれは嘘。消費者は不利益になると思えば購入をやめるという判断をするだけなのだから。
――補償金の支払義務者を消費者からメーカーに変えるべきという権利者の意見もあった
亀井 反対だ。そもそも補償が何に対する補償なのかの問題。メーカーが支払い義務者となっているドイツでは、メーカーは著作権侵害に対する寄与行為を行っているという解釈だが、日本の法制度はそうではない。ドイツは違法行為に寄与しているとされるが、日本では適法行為への寄与だ。
――議論のゴールをどう考えてるのか。補償金の縮小を訴えていくのか。ほかの方法もあり得るのか
亀井 補償金は縮小・廃止が基本線だが、権利者が収益を得られる仕組み作りも必要だろう。われわれはインフラを作ったりビジネスを提案していくことで協力・支援していく。
自分たちの不利益もないのに、代替案にも反対し、最後のゴールも考えずに、議論を振り出しに戻しているのか・・・。
声の大きい人間が、全く意味不明な発言を繰り返して、先に進まない日本の大企業の駄目なところの典型のような状況が公に展開されている。
IT Media News の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/10/news117.html
うんざりするだけの議論が続いている。感想は特になし。
Internet Watch の記事
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/06/17/19959.html
映像や実演家などの権利者89団体は16日、電子情報技術産業協会(JEITA)に対して、私的録音録画補償金制度の見直しに関する公開質問状を送付した。今回の公開質問状は、JEITAが5月30日に発表した公式見解の真意を確かめることが狙い。HDDレコーダーや携帯オーディオプレーヤーを補償金対象機器にすべきでないなどの考えを示したJEITAに、その根拠を尋ねている。
JEITAの公式見解では、補償金制度の原則として「私的複製が際限なく行なわれることで権利者に重大な経済的損失が生じる場合に、それを補償しようとするもの」と説明。さらに、デジタル著作権保護(DRM)技術が普及することで、補償金制度の必要性は反比例的に減少するとした上で、「消費者の意見を十分に踏まえ、デジタル技術の進展に伴って補償金制度を縮小・廃止していくことが原則」との考えを示している。
JEITAはこうした前提を踏まえた上で、HDDレコーダーや携帯オーディオプレーヤーは、「権利者の経済的損失を直接生じせしめるものではない、いわゆるタイムシフト・プレイスシフトを目的とするもの」と指摘。「補償金の対象とすることは補償金制度の趣旨に照らし合理性はなく、従って、消費者に不合理な負担を強いるものであるため、受け入れられない」として、これらの機器を補償金対象にすべきではないとの姿勢を示していた。
この公式見解に対して権利者団体の公開質問状では、従来の補償金制度の対象媒体であるMDや録音用CD-R/RW、録画用DVD-R/RWなどは、タイムシフト・プレイスシフト目的だけでなく、その他の利用形態が混在していたと指摘。HDDレコーダーや携帯オーディオプレーヤーもこれと同じことが言えるとした上で、JEITAが補償金対象機器への追加を拒否する根拠を改めて尋ねている。
また、文化審議会での私的録音録画小委員会でJEITAの委員が、音楽CDからの録音について「補償を考える余地が生じてくるというふうに考えられる」と発言したことを指摘。その上で、私的録音の主要機器であるHDDレコーダーや携帯オーディオプレーヤーを補償金対象に指定せずに、どのような方法で音楽CDからの録音に関する補償金制度を成立させるのかと質問している。
さらに、「JEITAが自らの責任を回避するために、こうした一貫性のない主張を展開することによって、どれだけ社会的な混乱が生じているか認識されているのでしょうか。わかりやすく説明してください」など、合計8つの質問を投げかけている。
このほかの質問内容は以下の通り
・著作権法第30条(補償金制度)に基づく私的録音録画の範囲は、個人的かつ零細な利用のみ。この範囲は、著作権保護技術が普及した場合でも変わらず、補償の必要性もなんら変わるものではない。こうした客観的事実と、JEITAの主張(「補償金制度とは、本来、私的複製が際限なく行なわれることで権利者に重大な経済的損失が生じる場合に、それを補償しようとするものである」「デジタル技術の進展に伴い、技術的にコンテンツの利用をコントロールすることが容易になっていく中で、補償金制度の必要性は反比例的に減少する」)は反するものではないか。
・著作権保護技術の普及に伴い補償金制度を縮小することを前提に、当面は補償金制度を存続することなどを示した「文化庁案」において、JEITAが「制度の縮小廃止の方向性が見えない」とする理由を示してほしい。
・JEITAは「ダビング10」の前提条件である「クリエーターへの適正な対価の還元」と私的録画補償金は関係ないと主張しているが、ここでいう「クリエーターへの対価の還元」とは、どのような方法で実現するのか。国民のためにこの問題を解決する意思があれば、ただ私的録画補償金制度に反対するだけではなく、すべての関係者が納得できる他の具体的な案を示していただくのが、真摯に議論に参加するもののとるべき態度ではないか。
・JEITAの一連の主張は、「消費者への配慮」という言葉を頻繁に使用することとは裏腹に、文化庁案を拒否することで「ダビング10」の実施を危うくしていることだけを取り上げても、「消費者の利益や利便性」よりも、むしろ私的録音録画補償金制度に係わる負担のサイクルから、メーカーのみが責任を回避することに固執しているように見える。私的録音録画によってもたらされる利益は、消費者だけでなくメーカーにももたらされており、その利益の一部分は、第4次中間答申において「権利者に還元されるべき」とされた対価のリソースに含まれているというのが権利者の考え方。私的複製を可能とする機器などを製造販売して利益を上げる以上、この因果関係と社会的責任からは逃れられないのではないか。
・コンテンツとハードウェアはコンテンツ大国実現のための車の両輪といわれる。本来互換関係にあるべき権利者とメーカーが協力すればさらなる成果が期待できると考えているが、こと補償金制度に関する限り、JEITAの態度は一貫して頑なであり、かつ敵対的。こうした状況を打開してより良い関係を実現するために、ともに手を携えることはできないのか。
これまでの経緯を Internet Watch、IT Media News を中心に読んでいるが、JEITA側の大義が相変わらず見えない。こういう混乱が発生しているにもかかわらず、だんまりを決め込んでいるのは、明らかに「消費者のため」ではない。この数ヶ月のJEITA側もあまり得しているようにも見えない、というより一方的に損をする感じすらする。
JEITAとにかく論理的な声明を出すべきだと思うが、おそらくはそれほど大した論理性もなくつっぱているだけなので、何も出せないというのが現状と推測。内部で影響の大きいどこぞの大手のメンバーが吠えているのかも。
Internet Watch の記事
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/29/19749.html
音楽や映像などの権利者団体で構成される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」は29日、私的録音録画補償金制度の見直しに合意しないメーカー側の対応について、これまでの議論を振り出しに戻す「ちゃぶ台返し」の行為であると痛烈に批判した。
補償金制度をめぐっては、文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会が5月8日に今後の方針を示す「文化庁案」を提出。将来的に補償金制度を縮小することを前提に、当面は暫定的に補償金制度を継続する案を示していた。
文化庁案はでこのほか、携帯音楽プレーヤーやHDDレコーダーなど録音録画を主な用途とする機器を補償金の課金対象にすべきと明言。その一方で、PCのような汎用機や携帯電話などへの課金は見送る方針を盛り込んでいる。
● 補償金の「拡大」ではなく「移行」が正しい表現
文化庁案に対して、メーカー各社が加盟する電子情報技術産業協会(JEITA)は、「補償金の対象範囲が拡大するのでは」「補償金制度の縮小・廃止の方向性が見えない」などと懸念を表明。この発言に対して権利者会議が29日に会見を開き、実演家著作隣接権センターの椎名和夫氏が「メーカー側の懸念事項は理解不能」として、その理由を次のように述べた。
実演家著作隣接権センターの椎名和夫氏
まず、補償金の対象範囲拡大への懸念については、録音や録画を行なうメディアが、MDやDVDからHDDに移行しつつあることを指摘。携帯音楽プレーヤーやHDDレコーダーなどを制度の対象に加えなければ、補償金の実体は生まれないとした。「『対象の拡大』というのは誤った表現で、むしろ『対象の移行』が正しい。権利者側としては、小委員会の2年間の議論を経て、PCを制度の対象に加えないことに合意したが、これは当初の主張を考えると、かなりの譲歩だ」。
続いて、補償金制度の縮小・廃止の方向性が見えないという懸念に対しては、文化庁案が、DRM普及を前提にインターネットの有料配信を補償金対象外とする方針を盛り込んでいる点を「まさに制度の縮小」と指摘。さらに文化庁案は、音楽CDからの録音と無料デジタル放送からの録画のみを補償金対象としているが、これらも「権利者の要請による保護技術」が施された時点で、補償金が廃止されることが明記されている点を指摘し、「それ以上どんな保証が必要なのか」と反論した。
「これらの懸念を今さら騒ぎ立てるのは、これまでの議論の経緯をまったく無視したやり方。これまでの議論を知っていれば、口にするのもはばかられるようなもので、ダメにする議論としか言いようがない。その点を我々は『ちゃぶ台返し』と呼んでいる」。
● メーカーだけが「負担サイクル」から開放、消費者のみが負担する構造に疑問
また、現在の補償金制度については、消費者が補償金を含む価格で対象機器・記録媒体を購入することで負担しているが、「それは建前で、メーカーが負担している事実に変わりはない」と指摘。しかし、補償金制度を廃止して、私的録音録画への対価の徴収方法がDRMと契約ベースの個別課金に委ねられるようになれば、「正真正銘の『消費者が負担する構造』が生まれる」と話した。
「私的複製のコストについてはこれまで、メーカーの利益の一部から消費者とともに負担してきた。今後は、メーカーだけがその『負担のサイクル』から未来永劫開放され、手放しで利益を上げる状態になり、消費者のみが私的録音録画の対価を負担することになる。この事実に気付いていない消費者は多いと思うが、消費者は本当にそれでいいのでしょうか」。
● 権利者はダビング10を人質にしてない、そもそも論は「メーカーの落ち度」
また、6月2日開始予定の地上デジタル放送の新録画ルール「ダビング10」が暗礁に乗り上げている点については、「実施期日の確定にゴーサインを出すのは、あくまで情報通信審議会の検討委員会」と説明。検討委員会では、ダビング10開始の前提条件という「権利者への対価の還元」が守られているかを確認することになっているが、メーカー側が補償金制度の見直しに合意しないことから、現在でもダビング10開始期日が確定していないとした。「権利者側は、補償金制度見直しのために、ダビング10を『人質』になどしていない」。
椎名氏は、ダビング10の問題の発端は「メーカーの落ち度」にあったことを事実として押さえるべきと強調する。椎名氏によれば、現行の録画ルール「コピーワンス」の不便さが顕在化したのは、ムーブの失敗によりHDD上のコンテンツが消滅してしまうとのクレームが頻発した時点にさかのぼると指摘。その不便さの原因については、「カタログ上の性能を実現できないメーカーの技術力の未熟さと、それに対するサポート体制の不備に起因する」として、権利者側とは何ら関わりがないことを訴えた。
「そもそも権利者はコピーワンスを取り決めた話し合いに関与していなかった。しかし、苦し紛れに『権利者の厳しい要求により定めたルール』と言われたことから、情報通信審議会の検討委員会に参加した経緯がある。権利者側は、できうる限りの可能性を模索した結果、ダビング10という成果が生まれた。『権利者への対価の還元』が前提となっているのは、そういう経緯を考えれば当然のこと。また、この時点でメーカーは何の異議も申し立てていない。権利者にとってダビング10の問題は、明らかにメーカーの不始末の尻ぬぐい。にもかかわらず、メーカーはここへ来て放埒な主張を繰り返し、ダビング10の実現を危うくしている」。
● 補償金問題が解決しないのは「あるメーカー」が強い反発を示しているため
補償金制度見直しとダビング10に関する権利者側の今後の動きについては、「補償金についてはメーカー次第。5月29日に開催予定の私的録音録画小委員会が延期になったのも、メーカーの意思統一が終わらなかったためと理解している。いつまで待つかについては、正直言って白紙の状態。ダビング10については我々も話し合いに関与してきたので、メーカーが開始できることが一番良いと考えている。ダビング10開始期日は我々の一存では決められないが、少なくとも『人質をとって包丁を突きつけている』ということはない」と話した。
なお、29日に開催予定の小委員会が延期され理由について椎名氏は、「あるメーカー」が補償金制度見直しに強い反発を示した結果、JEITA内で意見の一致に至らなかったと理解していると説明した。「JEITA内部ではコンテンツに一定の理解があり、補償金問題を解決しようというメーカーの方もいるが、あるメーカーが極めて原理主義的にこの問題に拒否反応を示し、これまでの議論の経緯をろくに学習しないまま、さまざまな策を弄して、JEITA内部で多数派工作を行なった結果と聞いている」。
また、最近では経済産業省が補償金制度について関与するようになってきたことで、補償金制度問題の混乱に一層拍車がかかってきているという。「文化庁案を受諾するのは難しいという方向で動いているようだ。2年という歳月でたどり着いた文化庁案への理解が十分でなく、とんちんかんな対応も多々見られる」。
● JEITAの意識調査は「大変良い調査」
会見ではこのほか、日本音楽著作権協会(JASRAC)の菅原瑞夫氏が、28日に公開されたJEITAの私的録音録画に関する意識調査について、「大変良い調査をしていただいた」とコメントした。
JEITAの意識調査は、地上デジタル放送環境下では「自由に複製できないので補償金は支払う必要がない」という回答が78.4%に上ったほか、音楽CDに購入・レンタル料金を支払う一方で、さらにデジタル携帯オーディオプレーヤーに補償金をかけるべきかどうかを質問したところ、「補償金をかけるべきではない」が85.0%と圧倒的に多かった。
この結果について菅原氏は、「携帯音楽プレーヤーに補償金かけるべきではないというが、その前提には、『レンタルCDと音楽CDに私的録音の対価が含まれていれば』とある。この問題は小委員会でも議論され、『含まれていない』とはっきり説明されている。また、地デジ環境の補償金についても、調査を見ると利用実態の大半は『タイムシフト』。それならば、コピーワンスのままで十分だったという話。しかし、ダビング10では消費者の利用の可能性が広がるが、そこに対する補償をどう考えるかという話になる」とコメントした。
メーカー側がかたくなに主張を変えず、こういう状況でもよしとする理由が分かりにくい。
補償金が上乗せされることによって業界全体の売上が下がることが心配なのなら、どれだけ上乗せされると、どれだけ売上や利益に影響する(発展が阻害される)のかということの予測を示して、産業に与える影響を説明すればよいのではないだろうか。補償金が多少のっかったところで、それほどメーカーにはさして影響はないと思うのだが。
コンテンツ側の権利が侵害されてくることは容易に予想はつくので、そういった活動の発展維持のために、何らかのお金が回る仕組みをつくろう、というスタンスで考えたほうがよい気がするのだが、今のメーカー側の主張は理屈は並べてあるものの、大義が見えない。
ITMedia News の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/27/news131.html
日本音楽著作権協会(JASRAC)など著作権関連28団体で構成するデジタル私的録画問題に関する権利者会議は5月27日、メーカー側の委員の都合で、29日に予定していた「私的録音録画小委員会」の延期が決まったことに関連し、29日に意見を表明する会見を都内で開くと発表した。「メーカーの社会的責任と補償制度」と題し、「この問題の一刻も早い解決へ向け、意見を発表する」としている。
私的録音録画小委員会は、文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会傘下の委員会。文化庁は小委員会で、iPodやデジタル放送録画対応HDDレコーダーなどを補償金の課金対象とする制度改正案を提示し、各委員の賛同を求めていた。
4月に開かれた会合で電子情報技術産業協会(JEITA)の委員はいったん「文化庁案に沿って、バランスの取れた解を見つけるために真摯(しんし)に努力する」と、iPodやHDDレコーダーなどへの補償金課金を容認するともとれる発言をしていた(「JEITAの変化を高く評価」と権利者団体 HDDレコーダーやiPodへ補償金課金目指す)。
だが5月の第2回会合では「補償金の課金対象が際限なく拡大するのでは」などと強い懸念を表明。「これまで関係者が積み重ねた議論を振り出しに戻すような発言に終始した」(権利者会議)。
小委員会では、29日の第3回会合で合意を目指していたが、メーカー側の委員が「最終的な意見を表明する状況にない」(文化庁)ため合意は難しいと判断。会合を延期することを明らかにしている(「ダビング10」6月2日開始は絶望的 録音録画小委員会が延期に)。
権利者側は、ダビング10開始の見返りとして、デジタル放送録画機器への補償金課金を求めているが、小委員会が開かれない限り補償金の課金対象機器も決まらないため、6月2日開始でいったん合意していたダビング10スタートは絶望的な情勢だ。
権利者会議は29日の会見で、「問題点を改めて明らかにし、広く消費者のみなさまに正しい理解を求めるとともに、この問題の一刻も早い解決へ向け、意見を発表する」としている。
これまでの議論の方向性を見ていても、おとしどころが見つかりそうもない印象で見ていたが、結局こういうことに。
どちらの論理も一般には分かりにくいが、メーカー側のやり方がメディアの共感を得られにくいのでは。
IT Media News の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/08/news131.html
あまり議論の方向性が「明確なおとしどころ」に向けて進んでいない気もするが、利害が対立しているので仕方ないか。コンテンツ業界に金が回りにくい状況になっているのは事実なので、補償金が拡大してもよいのかもという印象が最近はある。
ガソリン税をなくして消費者に還元したところで、個人貯蓄に変わって業界全体に金が回らないような悲惨な状況になるのであれば、とりやすいところから吸い取って、業界にお金を回したあとで、使い道は徹底的にチェックするような形のほうが当面の活性化にはつながるのかも。
議論の方向性については、引き続き傍観。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/04/news128.html
「JEITAの大きな変化を、高く評価したい」――日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本レコード協会など24の権利者団体と65の賛同団体 で構成する「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」は4月4日、私的録音録画補償金問題に関して、エレクトロニクスメーカーの業界団体・電子情報技術 産業協会(JEITA)の「譲歩」を歓迎すると表明した。今後はiPodやHDDレコーダーなどが補償金の課金対象になるよう、文化審議会の小委員会など で訴えていく。
私的録音録画補償金問題をめぐっては、権利者側とJEITAの主張が対立していた。権利者側は、地上デジタル放送の録画ルールを「コピーワンス」 から「ダビング10」に緩和するためには補償金が必須とし、「ダビング10の合意にも、補償金制度の継続が含まれている」と主張していた。
これに対してJEITAは、「DRM(デジタル著作権管理)があれば補償金は不要」と訴え、ダビング10というDRMが採用される地上デジタル放送機器は、補償金の課金対象にすべきではないと主張してきた。
権利者側は「JEITAは一度合意した内容を破棄しようとしている」と、真意をただす公開質問状をJEITAに送付するなどし、「補償金制度撤廃に議論が動くなら、6月2日のダビング10への移行が凍結される可能性がある」とJEITAをけん制していた。
「文化庁案」で歩み寄り
補償金の扱いや課金対象については、文化庁文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」などで、権利者やJEITAの代表者を交えて議論し てきた。だが「最初に議論が始まってから4年近く経ち、原理主義的な理想論がいろいろな立場から述べられて収集が付かなくなっていた」と、実演家著作隣接 権センター運営委員の椎名和夫さんは指摘する。
こう着状態を打破しようと、文化庁は今年1月17日の小委員会で折衷案を提示。「権利者がコンテンツの複製回数をDRMで完全にコントロールでき れば、補償金は不要になる」という前提に立ちながらも、「当面は補償金による対応が必要な分野」として、(1)音楽CDからの録音、(2)無料デジタル放 送からの録画――を挙げた。
この案では、ダビング10は「権利者が策定したルールではない」として権利者への補償が必要という考え。ダビング10対応の地上デジタル放送録画機器も、補償金の対象に含めることを検討すべきという方向性を示した(関連記事:「DRMが普及すれば補償金縮小」で合意へ。
4月3日に開かれた今期第1回の私的録音録画小委員会で、 JEITA著作権専門委員会委員長の亀井正博さんは「文化庁案に沿って、バランスの取れた解を見つけるために真摯(しんし)に努力する」と発言。権利者側 はこれを「JEITAが、デジタル放送録画機器への補償金課金を含む文化庁案を容認する意思表示」ととらえ、「大きな変化」と歓迎した。
「こう着した議論の中では、まず誰かが一歩降りる必要がある。コピーワンスの緩和でまず降りたのはわれわれ権利者だったし、今回も一歩降りてい る。6月2日にダビング10が実施できるかのボールは今、メーカー側にある。よりよい解決の方向に決断をいただきたい」と椎名さんは述べる。
HDDレコーダーやiPodへの課金目指す
文化庁案では、補償金維持を検討する分野として(1)音楽CDからの録音、(2)無料デジタル放送からの録画――を挙げている。権利者側は(1) について、iPodなどデジタル音楽再生機器を、(2)については、HDDレコーダーやBlu-ray Discレコーダーなどを新たに、補償金の課金対象に加える方向だ。
「消費者が使うメディアはシフトしているのに、補償金の課金対象機器は変化がない。同じ録音・録画ができるのに、課金される機器とそうでない機器 があるという不公平な状況の中、補償金は年率2割ずつ減り続けている」と椎名さんは指摘。「中間整理の段階で、録音・録画専用機器については、課金対象に 加えることでおおむね合意した」と話す。
PCなど汎用機器については「どの程度録音・録画に利用されているかを調べて、その割合にあった金額を按分するといった手があると思う。今後、議論になっていくだろう」とした。
文化庁案は、補償金は暫定的に維持するものの、DRMの普及を見ながら順次、制度を縮小していくという方向性を示し、権利者側も受け入れる方向 だ。これについて椎名さんは「権利者の大幅な譲歩、と理解されているが、消費者の利便性を損なわず、権利者の利益も損なわない状態が実現するのならば大き な前進であり、妥協でも挫折でもない」と話す。
「だが、補償金制度が縮小すると、ユーザーが無許諾で行える私的複製の範囲が狭くなり、許諾を必要とする複製が増える。それがユーザーにとって望ましいか議論する余地を文化庁案は残しており、議論は続くと思う」
JEITAが「保証金の制度自体をなくすべき」としていることのメリットがJEITA自体にもあるのかが分からない。この手の商品で、値段が10%下がっ たからといって、売上が10%上がるわけもなく、コンテンツの権利者との対立の構図を作ってしまうこと自体が大変なデメリットで、何も得はないようにすら 思える。
上記の記事中で、「権利者がコンテンツの複製回数をDRMで完全にコントロールでき れば、補償金は不要になる」という前提自体が将来においてありえない話に思える。それでは、DRMで完全だと宣言しておいて、破られたときにはJEITAが完全に責任を持って補償するということか?
Cnet Japan の記事
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20370762,00.htm
文化庁の諮問機関・文化審議会著作権分科会の2008年度「私的録音録画小委員会」の第1回会合が4月3日、開催された。
前年度に開かれた同委員会では、違法複製物からのダウンロードを、著作権法第30条の適用範囲から外して違法とすべきとする違法コンテンツのダウンロードの違法化と、DRM(著作権保護技術)の普及を前提にした補償金制度の縮小が議題の中心として話し合われてきた。ダウンロードの違法化については、委員の間で違法とすべきという一定の結論が得られたものの、補償金制度の縮小では意見がまとまらず、2008年1月30日に開かれた前年度の最終会合では「議論を次期委員会に持ち越す」という結論で締めくくられた。
こうした流れを受け、今年度の委員会では、補償金制度のあり方を中心に議論を進めていく方針が確認された。また、審議の内容は文化庁が1月17日の委員会で提示した「著作権保護技術と補償金制度について(案)」をもとに検討を進めていく。
文化庁がまとめた同案は、DRMによってコンテンツの複製回数が完全にコントロールできれば、補償金は不要になるという前提のもと、著作権法30条2項で規定された補償金制度を順次縮小していくという方針を示したもの。
その間、著作権者が被る経済的な不利益は、暫定低的な補償金制度によって補っていくとしている。文化庁著作権課川瀬真氏によると「同案に対しては関係団体の間からも表立った反対意見は寄せられていない」と述べた。一方、「今回の提案はあくまで大枠にすぎず具体的な制度設計がなされてない」といった意見が寄せられたことも明かされ、今後は補償金制度の対象機器や機器に上乗せする金額、補償金の支払い義務者などの詳細を盛り込んだ提案書を改めてまとめ、5月8日に開かれる第2回会合で提出する方針が語られた。
同委員会は、今後は月に2回のペースで会合が開催される予定で、第2回会合で公表される補償金制度の文化庁案の内容を受け、5月29日に開かれる第3回会合で方向性が決定される見通しだ。以降、早ければ7月中にも報告書を取りまとめ、ダウンロード違法化と併せた著作権法改正法案を国会に提出し、早期成立を目指す。
なお、今年度の委員会の主査は前年度に引き続き、西村あさひ法律事務所顧問の中山信弘氏が再任。そのほかメンバーには、電子情報技術産業協会(JEITA)法務・知的財産権委員会著作権専門委員会委員長の亀井正博氏をはじめ、日本民間放送連盟事務局次長の大寺廣幸氏、主婦連合会副常任委員の河村真紀子氏、日本レコード協会専務理事の生野秀年氏など、2007年度と同じ20名が委員として参加する。
また、今回の会合では、日本レコード協会と、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の担当者が出席し、2007年に実施された「違法着うたに関する調査」と「P2Pファイル交換ソフトに関するアンケート調査結果」を紹介。
「違法サイトの利用によって有料サイトの利用が減ったという人が前回調査から増えた」「違法サイトの利用によってCDの購入が減ったという人が増加した」という結果報告に対して、委員のイプシ・マーケティング研究所社長の野原佐和子氏からは、「無料で着うたをダウンロードしているユーザーは10代が多い。しかし、10代のユーザーはもともと可処分所得が少ない層。便利なサイトがあったから使ったというだけで、違法という意識がないユーザーもいるはず。すべてを『違法』で進めるのではなく、広告モデルで成り立たせる、といった解決策もありうる」と提案がなされた。
Memo。ビジネスモデルの成立のさせ方をお役所の文化庁の会合で提案されるということが、ちょっと奇異な感じはするのだが。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/27/news113.html
「ダウンロード違法化」などを議論してきた「私的録音録画小委員会」が来期も開かれることが決まった。「YouTubeは動画を違法利用し、その後交渉を求めてくるマフィア」――権利者側からそんな発言も飛び出した。
文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会(第25回)が2月27日に開かれ、「私的録音録画小委員会」など4つの小委員会について、来期も継続して設置することが決まった。
分科会では、コンテンツ業界の最近の動向として、日本音楽著作権協会(JASRAC)が動画投稿サイトとの契約締結に向けて協議していることや、 日本レコード協会が適法サイトマーク「エルマーク」運用を始めていることなどが報告され、ネット上での著作物流通について意見が交わされた。
私的録音録画小委員会、継続審議へ
著作権分科会傘下の小委員会は、毎年2~3月ごろから1年間を会期としている。来期も継続が決まったのは、「法制問題小委員会」「私的録音録画小委員会」「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」「国際小委員会」の4つ。
私的録音録画小委員会は、違法にアップロードされたコンテンツのダウンロードを違法とする著作権法改正案や、DRMが普及した際の補償金の扱いについてなどといった議論を継続していく見通しだ。
「YouTubeはマフィア的」?
会合ではJASRAC常務理事の菅原瑞夫委員が、動画共有サイトと権利者側との協議の歴史を紹介。JASRACはYouTubeやニコニコ動画に対し、楽曲の利用許諾条件を示した上で、契約に向けて交渉していると説明した。
「YouTubeでは著作権侵害がはびこっていた。米国の弁護士も『先に勝手に利用して、後で交渉をするというやり方はマフィア的なビジネス』と指摘していた」と菅原常務は話し、動画投稿サイトでの著作権侵害問題を強調する。
ただ「YouTubeの視聴者は多い。権利侵害しているからといって排除するだけでいいのか、という問題もあり、コンテンツホルダー側もビジネスとして、どう適法に利用するかという視点に動いている」とし、JASRACが動画投稿サイトと交渉する必要性を説明した。
「以前は、俳優や歌手など実演家がコンテンツ流通を阻害しているという誤解もあったが、全くそんなことはない。メディアが増え、活躍の場が増えることは歓迎だ」――日本芸能実演家団体協議会専務理事の大林丈史委員は言う。
ただ、テレビ番組などが無許諾・無料でアップされる動画投稿サイトは「物作りの現場には影響しないが、いい物を作り、その対価を新たな創造に還元 するという創造のサイクルに影響する」(大林委員)と指摘。「ビジネスとしてやる以上はそれなりのルールがある」とし、合法的な2次利用を円滑化するため の仕組み作りを進めていると話した。
「適法マーク」の実効性は
レコード協会会長の石坂敬一委員は、レコード会社が許諾した正規の音楽配信サイトを見分けるためのマーク「エルマーク」の運用を始めたことを報告。日本書籍出版協会副理事長の金原優委員はこれについて「いいことだと思う。業界団体だけでなく、政府・教育レベルで著作権に関する啓発が必要だ」と話した。
弁護士で早稲田大学大学院法務研究科教授の道垣内正人委員は「マークが適法サイトの80%以上に付くなど、かなり普及しないと『マークがないサイ トを違法とみなす/推定する』のは難しい。配信サイトには海外のものもある」と指摘。レコード協会専務理事の生野秀年委員は「違法ダウンロードの被害は国 内の事業者に集約されている。マークだけで100%対応するのは難しいが、普及、広報していきたい」とした。
コンテンツ業界の「共通ライセンス」案も
各コンテンツやユーザーに個別のIDを付け、管理・2次利用しやすくしようという「許諾コード」の取り組みを、日本写真著作権協会常務理事の瀬尾太一委員が紹介した。
コンテンツには「コンテンツID」「許諾条件を示すコード(商用・非商用・DRMの有無など)」を付与。権利者とユーザーにもそれぞれIDを付 け、「コンテンツの娯楽消費時に、コンテンツ使用者に正しく消費させ、正しく消費実績をコンテンツ所有者・権利者に利用報告させる」仕組みという。
許諾コードの原型は、1997年ごろに電通が考案。電子情報技術産業協会(JEITA)を通じてIEC(国際電子技術標準化会議)に提案され、今年2月15日に国際標準になったという。日本経団連主導で開設したコンテンツポータル「ジャパン・コンテンツ・ショーケース」などでテスト運用していく。
メモ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0801/15/news117.html
「保証金」という制度・形がベストかどうかは分からないが、コンテンツ製作者に対して正当な対価を支払うために何らかの形で利用者に課金をするのは自然な形と思われる。コンテンツ製作者に対してだれも敬意を払わないようであれば、モチベーションもあがらずよいコンテンツも出てくる土壌がなくなっていくことになる。
”電子情報技術産業協会(JEITA)が主張する、「DRMの普及に伴い補償金は撤廃すべき」”
コンテンツホルダーに助けられながらビジネスしてるにもかかわらず、この主張をするJEITAのスタンス・真意も今のところよく分からない。保証金の分だけ価格が下がれば、その要因だけでものがいっぱい売れると思っているのであればバカすぎる主張だが。
どんなセキュリティ技術が開発されたとしても、それが破られる可能性を完全にゼロにできないのは自明のことなので、保証金をゼロにするというより、考え方として「保険」ないしは「基金」という形で現状の保証金レベルのお金の循環を維持できるような仕組みがあってよい気が個人的にはするが・・・
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071219/289815/
IT Media の記事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/18/news142.html
AV Watch の記事
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20071217/dub10.htm
将来的な補償金の廃止には賛成。
ただ、現状のDRMの技術水準では無理なことも事実。保証金の廃止をするには、技術の道筋がはっきりしなければならないので、メーカー側に努力が必要だが、電子情報技術産業協会(JEITA)側もこれを主張するなら明確な技術的な実績・根拠を示していくべき。