存在感を増すインターネット配信,再構築迫られるマルチウインドウ戦略

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IT Pro の記事
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081110/318904/


 映画やテレビ番組などのコンテンツを様々なメディアに時間差をつけて露出して収益を最大化する「マルチウインドウ戦略」に異変が起こっている。ワーナー エンタテインメントジャパンが,映画「スピード・レーサー」のDVD販売とインターネット配信の開始日を同じ2008年11月19日に設定するなど,イン ターネット配信のウインドウ位置が前倒しされ始めている。

 特に海外ではこうした動きが顕著で,日本のコンテンツが日本よりも先に海外で配信されたり,放送よりも先行してテレビ番組を配信したりする動きが 出ている。2008年7月以降,米国の「iTunes」や「Hulu」,「Joost」といった動画配信サービスで,「DEATH NOTE」や「NARUTO」,「BLEACH」などの日本の人気アニメの配信が相次いで始まった。過去の名作が配信されるのとは異なり,今回インター ネット配信が始まった作品には,日本で配信が始まっていないものが多い。

 日本では作品が放送された後に,二次利用としてDVDや動画配信のウインドウがあり,それぞれのサービスが競合しないようにコントロールするノウ ハウが確立している。一方,日本のコンテンツを海外展開する場合,最初のウインドウである「放送」が行われない地域が多くあり,こうした地域の視聴者が違 法動画で作品を視聴するケースが問題となっている。

 「DEATH NOTE」の海外配信を許諾した日本テレビ放送網は,日本よりも海外のインターネット配信が先行する理由の一つとして,この違法動画対策を挙げる。「海外 は放送やDVD化までに時間がかかり,その間に違法コンテンツが広がってしまう。これを防止するために,海外におけるインターネット配信を急いだ」(日本 テレビ)としている。

 「NARUTO」や「BLEACH」の制作を手がける「ぴえろ」も,「新しいエピソードをいち早く見たいという要望に応えられていないことが, ファンが違法コンテンツの視聴に走る原因の一つだ」として,インターネット配信のウインドウ展開を早めることは違法コンテンツによる機会損失を減らす効果 があると考えている。また,最近になって海外の企業から,放送ではなくインターネット配信を最初のウインドウとすることを前提に作品を共同制作する話が持 ち込まれているといい,「放送よりもインターネット配信を優先する方法は,今後増えるのではないか」(ぴえろ)とみている。

 海外で放送を最初のウインドウにしにくい日本のコンテンツが,次善策としてインターネット配信を選択している一方で,放送へのフィードバックを期 待して最新コンテンツのインターネット配信に取り組む例も出てきた。米NBCは2008年9月下旬に,秋に新シーズンが始まる代表的なドラマの1話目を, 放送よりも1週間先にインターネットで配信した。「先出し視聴」で視聴者の関心を集め,続くエピソードを放送で見てもらうのが狙いである。インターネット 配信の存在感が増すにつれて,放送やDVDパッケージ,海外展開といった要素をどのように組み合わせて利益を最大化するのかという,マルチウインドウ戦略 の最構築が必要になりそうだ。

ネットで反応を見て、メジャーなチャネルに向けて配信をするというのは、深夜番組で様子を見てからゴールデンに持ってくるような流れと似ているか。ネットであればさらに小予算でテストができるので、こういった流れは定着しそう。

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