ベンチャーから老舗IT企業へ変貌するRealNetworksの今後 - ETRE 08
http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/11/05/etre09/
米RealNetworksは来2009年に創業15年を迎える。1994年、それまで米MicrosoftでBill Gates氏の近くで新規事業開発を担当していたRob Glaser氏がメディアのデジタル化を専門とするRealNetworksを立ち上げた。その後、メディアプレイヤーからゲーム、音楽とさまざまな事業 を展開している。それまで務めていたMicrosoftに対しては、その後メディアプレイヤーを巡って法廷で対立したこともある。
10月16日にスウェーデン・ストックホルムで開催された技術と投資のカンファレンス「ETRE 08」で、RealNetworksの創業者兼会長兼CEO、Rob Glaser氏が、主催者米Red Herringの会長Alex Vieux氏と対談し、同社の展望を語った。
ハイテクベンチャーでは、もはや老舗に分類されているRealNetworks。Glaser氏は、変革について、5、6年前よりコンシューマサー ビスにフォーカスし、ゲームと音楽の2つのサービスの提供に照準を当てたと語る。音楽ダウンロードサービスがまだ黎明期だった当時に、サブスクリプション サービス提供を目指した。ゲームではそれ以前からReal. com Games、RealArcadeなどの取り組みを進めてきた。ゲームは米国で1位、欧州でも好調という。
これまでを振り返ってGlaser氏は、「音楽業界とのビジネスは非常に難しかった」と言う。CDなど物理媒体による売上げが減少し、違法ダウン ロード対策の決定打が出ない中、レコード業界はオンライン技術の受け入れに後ろ向きだったという。「音楽レーベルはコントロールを失うことに不安を感じて おり、収益を共有するほどオープンではなかった」とGlaser氏。その結果、音楽分野の事業は、計画よりも2年半遅れたとGlaser氏は言う。 Glaser氏は、「音楽レーベルはもはや、音楽ビジネスの中心ではない」とも言う。
このようなコンテンツ側に加え、RealNetworksはモバイルへの進出も図ってきた。フィンランドNokiaなど端末メーカーが同社のメディアプレイヤーを搭載した機種を提供している。モバイルオペレータとは、携帯電話向けの音楽配信事業開発で協業している。
その一例として、Glaser氏は「Ringback Tone」を紹介する。韓国WiderThanの買収により実現したサービスで、「あらゆる電話で動く、まったく新しいサービス」と胸を張る。音楽レーベ ル4社、インディーズなどと提携、特にトルコでは大人気という。現在加入者は世界3,000万人に達したとGlaser氏。
今年に入り、「Rhapsody」ブランドの音楽サブスクリプションサービスでは、DRMフリーサービス「Rhapsody MP3 Store」の開設に踏み切り、収益の高かったゲーム事業ではカジュアルゲーム市場の拡大に合わせ、スピンオフしている。
RealNetworksが10億ドル企業になるのはいつか? 音楽ダウンロードサービスでは、米Appleの「iTunes」が大きくリードしている。RealNetworksは決定打に欠けたのだろうか?
「これまで、デジタルエンタテインメントを軸にさまざまな展開をしてきた。まだ起爆したとはいえない。RealNetworksの成功はこれから だ」と語る。「メディアのデジタル化は5年では無理だ。20年、それ以上の時間がかかる」とGlaser氏、RealNetworksは長期的な収益モデ ルを目指しているという。
ビジョンとしては、「いつでも・どこでも・あらゆる形で・あらゆるものを」がテーマという。PCと携帯電話ではなく、TVなどさまざまな端末が想定 される。「デジタルメディアは始まったばかり。RealNetworksのビジョンは大きなもので、3Dのジグソーパズルのように複雑だ」とも述べる。
Glaser氏は経営について、今後もCEOとして指揮を執っていきたいと述べ、挑戦を続ける姿勢を見せた。
米国に次いで市場の大きい日本での戦略がない(Rob Graser が関心がない)ので、あまり大きくなるとも思えないが、一応メモ。