アカマイとライムライト、競争激化でさらなる株価下落も
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBWC0011.html
CDNのビジネス環境に関しての厳しさを説明する記事。技術的な部分がどんどん発達すれば、単なる価格競争に陥らざるを得ないだろうとは思っていたが、案外早くこのような状態になりつつあるという印象。インフラ提供のビジネスの難しさを感じさせられる。ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)アカマイ・テクノロジーズ(Nasdaq:AKAM)とライムライト・ネットワークス (Nasdaq:LLNW)の株価はここ数週間で大きく下げているが、ウォール街関係者は、競争が厳しくなっていることを理由に、両社の株価がさらに下げ るとみている。
アカマイとライムライトは、ニューズ・コーポレーション(NYSE:NWS.A)のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のマイスペースや、マ イクロソフト(Nasdaq:MSFT)のMSNBCなどの顧客に、特殊な技術サービスを提供する”コンテンツ配信”会社。両社は、顧客のウェブサイトに ビデオゲーム、音楽ダウンロード、ストリーミングビデオなどを運び、手数料収入を得ている。
コンサルティング・調査会社のフロスト&サリバンによると、アカマイとライムライトの2社でコンテンツ配信市場の68%を支配している。
コンテンツ配信業界の追い風となっているのは、グーグル(Nasdaq:GOOG)の「ユーチューブ」など動画投稿・配信サイトや、「フェースブック」 などSNSの人気だ。市場調査会社プライメトリカのテレジオグラフィーによると、オンラインのトラフィックは2004年以来、年60%の伸び率で拡大して いる。つい最近まで、アカマイとライムライトは、事業の大幅拡大と株価急上昇が期待されていた。
しかし、オンラインコンテンツの成長にもかかわらず、アカマイとライムライトの株価は下げている。7月中旬以来、アカマイは26%、6月に上場したライムライトは53%下落している。ウォール街関係者は、両社を取り巻く環境が近いうちに改善するとはみていない。
スタンダード&プアーズ(S&P)のアナリスト、スコット・ケスラー氏は「(アカマイとライムライトは)まだ下値余地が大きい」とした。同氏 は、アカマイの投資判断を「セル」としており、ライムライトについては格付けを開始していない。いずれの会社の株式も保有していない。
7日終値はアカマイが前日比1.73ドル(4.36%)安の37.97ドル。ライムライトは同0.84ドル(7.48%)安の10.39ドル。
アナリストらによると、このところの株価下落にもかかわらず、両社とも依然として割高という。ライムライトの株価収益率は、向こう12カ月間の予想1株 利益ベースで94倍となっている。ハイテク業界の平均の約21倍を大きく上回る。アカマイの株価収益率は、向こう12カ月間の予想1株利益ベースで約24 倍。
ケスラー氏は「過去には、アカマイの高い株価は正当とするが理由あった。独占に近い市場だったからだ。しかし今日はそれとは異なる。現在の水準でも高すぎる」と述べた。
昨年初め以来、ビットグラビティー、キャッシュロジックといった新興企業がコンテンツ配信を手掛けるようになっている。また、レベル3コミュニケーショ ンズ(Nasdaq:LVLT)、インターナップ・ネットワーク・サービシズ(Nasdaq:INAP)、ビットトーレントといった企業も参入している。
新たなライバルは、数多くの方法で競争しているが、最も有効な方法のひとつは、価格の引き下げだ。業界筋によると、コンテンツ配信会社は、運ぶコンテンツについて、1ギガバイト当たり平均で30-60セントを顧客から徴収している。
ニューヨークに本拠を置く小規模のコンテンツ配信会社、パンサー・エクスプレスは、価格を20-30%引き下げる計画としている。レベル3も同様な値下 げ計画を発表している。こうした値下げ攻勢は、ライムライトの利益率を押し下げ、アカマイは値下げを余儀なくされている。
ライムライトは8月、利益率が前年の51%から30%に低下したことを明らかにした。今週5日発表した7-9月期決算は純損益が310万ドルの赤字となり、赤字幅は前年同期の140万ドルから拡大した。売上高は67%増加した。
アカマイは、競争などを理由に価格の引き下げを余儀なくされたとしている。年間の売り上げ成長率は51%から46%に減速し、粗利益率は2008年を通じて低下するとの見通しを示している。
カウフマン・ブラザーズのアナリスト、サミート・シンハ氏は「アカマイ、ライムライトとも、特に大口の契約で(価格面での)動きが活発になっていること を示唆している。これまでは、価格の低下は利用の増加で相殺されてきたが、今後は鈍化する可能性がある」と述べた。シンハ氏はいずれの銘柄についても投資 判断は「セル」としている。カウフマンは投資銀行サービスをこれら2社に提供しておらず、シンハ氏個人は両社の株を保有していない。
アカマイ、ライムライトとも、新たな競合他社より長く生き続けるとしている。ライムライトのデビッド・ハットフィールド上級副社長は、ライムライトが世界的に地位を確立するには6年かかったと指摘。新規参入のライバルは事業確立で障害に直面するだろうと予想した。
アカマイのマイク・アファーガン最高技術責任者は、「競争は常にあった。われわれはそれを乗り越えてきており、それは今も変わらない」と述べた。
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