大人気だが、乱立に悩む・動画共有サイト業界はブランディングが課題
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITba002008112007
ビデオ共有サイトといえば ユーチューブが有名だが、米国では100社を超える様々なビデオ・サイトが乱立し、激しい競争と淘汰が繰り返されている。2003年7月に設立されたメタ カフェ(Metacafe)も、そうした競争を勝ち抜いて生き残っている共有サイトのひとつだ。米サンノゼで6日から開催されているストリーミング関連ビ ジネスの展示会「ストリーミングメディア・ウエスト2007」2日目の基調講演で、同社のエリック・ハッチェンバーグ(Erick Hachenburg)CEOが、最近の業界動向を報告した。(ITジャーナリスト・小池良次)
■オンライン・ビデオはポピュラー化
冒頭、ハッチェンバーグ氏は「ビデオ共有とそのホスティングは『2006年』に大きな壁を超えた。少なくとも月 1回以上オンライン・ビデオを見る人口は1億3000万人を超えている。その中には、毎日楽しむ人々が24.9%も占めている」と述べ、ビデオ共有サイト がニッチサービスから身近な娯楽へと変わってきたことを指摘した。また、オンライン・ビデオを楽しむ人々は10代から60代まで広く分布し、男女差もほと んどない。米国市民全体が、テレビやラジオと同じようにオンライン・ビデオを楽しんでいるという。
一方、今年に入っての傾向を見ると、やはり娯楽系ビデオに人気が集中している。最近の調査(注)によれば、娯楽系を好む割合は6割を超える一方、ニュースなどは3割程度にとどまっている。それにつれてオンライン・ビデオ業界でも娯楽系のショートビデオの制作や配信に力を入れる状況が広がっている。
■ビデオ共有サイトの広告モデルは?
同氏はまた「来年は収益モデルの確立が大きな課題となるだろう」と予測する。オンライン・ビデオが普及するにつ れ、広告を中心とする収益モデルの追求が大きな課題となっている。同分野の広告は年率89%で急上昇しており、その市場規模は7億7500万ドル (2007年推定、eMarketer調べ)に達しようとしている。また、2020年には32億ドルに達する(フォレスター調べ)との予測もある。
「とはいえ、オンライン・ビデオ広告は、まだまだ不透明で、不明な部分が多い」とハッチェンバーグ氏は指摘す る。たとえば、広告主の意向は「ブランドからターゲット・マーケティングまで多様で、それに応じたきめ細かなキャンペーン手法を編み出すのは、まだまだこ れからの仕事」という。
また、メタカフェの課題として「オンライン・ビデオとウェブ2.0との関係を見直してゆく」と述べた。ブログや 個人ホームページでオンライン・ビデオを乗せたり、リンクを張ることは一般化している。投稿ビデオはますます増えて、映像品質が悪くても人気を集めてい る。人気を集めるため広告媒体として利用したいが「広告主はやはり映像品質にこだわるところがある」と、その難しさを語った。また、投稿ビデオでは、プラ イバシー問題や猥褻問題をどのように自動処理していくのか、知的財産侵害をどう回避するかといった根本的な問題が十分に解決されていないことも、今後の課 題と述べている。
◇ ◇ ◇同氏は講演の最後に、ビデオ共有サイトの乱立と、市場の断片化に大きな懸念を示した。同業界は、同じようなサー ビスを展開するサイトが多く、ビデオの内容も似たものが並んでいる。ユーチューブだけが別格で、そのほかのサイトは差別化ができないで困っている。ユー ザーは多数の共有サイトに細分化しているため、広告主にアピールできるほどのトラフィック規模に達していない。
こうした乱立状態から「自社のブランドを確立したものだけが生き残ってゆく」と厳しい現状を指摘して、同氏は講演を締めくくった。
国内でも動画投稿サイトは乱立気味。自分でざっと調べただけも20はある。
http://www.doga-now.com/uploader/
Youtube を別格としたら、国内ではニコニコ動画、Amebavision がややリードというところのようだが、それでも明確に成功しているとは言いがたく、収益モデル構築には苦労するだろう。
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